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第104回 自然の声を聞いて絵を描く

 

 自然を描くと言うことは、この宇宙に生存する動植物とも対話しながら描くことである。画家の小林活之さんが、絵を描くときは、現場に行って、周囲を見回し、周辺に頭を下げて挨拶をするという。

 「何も邪魔したりしないから、2時間書かせてください」とお願いする。自然に対して頭を下げ、礼儀をつくす。すると自分でも気持ちが安心する。自然と一体化することができるからだ。

 自然と一体化した小林さんは、まさに風景の一部と化してしまうようだ。ある時、森の中で描いていると、小林さんのそばに何かがいる気配がした。しかし夢中になって描いているので、それが何であるか確かめることもしなかった。すると、それがちょこちょこと前に来て、小林さんのすぐ前に立って小林さんをみているのである。
 気がつけば、それはちいさないたちだった。一心不乱に絵を描いている小林さんに対して警戒心をもつこともなく、ずっと見て、歓迎してくれる。ある時には、雉なども坐っている小林さんのすぐそばを通っていった。

 時には、苦手な蛇などが出ることもある。しかし、「邪魔しないから、どこかに行ってくれ」と話しかけてあげると、理解して、どこかに消えていく。

聞くチカラ コスモス ほかの人がみたら、動物や自然と話をしている小林さんが奇異にみえるかもしれない。しかし小林さんにとって、この時間は最高の幸せなのだ。
 さらに植物との会話もしている。大好きなコスモスを描くときには、いつも不思議なことが起きる。小林さんが、「このコスモスを描こう」と思って坐ると、風もないのに、必ず、ゆらゆらとかなり大きく動き出すコスモスがいるというのだ。
 「さあ、私を描いて」というように体を動かし始めるのだ。どうしてそうなるなのか? 小林さんの目がそうなるのか、虫が動くのかわからない。
 しかし、動いたコスモスから描き始める。「わかった。おまえから描くよ」といって描く。
 さらに、もうひとつ、不思議で楽しいことが起きる。小林さんの描いている紙の上に次から次へと赤とんぼがとまってくるのだ。小林さんの描くコスモスにむらがってくる赤とんぼたち。そのような時は、しばし絵を忘れてトンボとたわむれる。

 
 
 

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