第93回 それでも「書けない」という人に
先日参加したセミナーで、自分の過去を振り返ってメモに書くというセッションがあったのだが、そのとき「全く書けない」という方がいた。
人にはそれぞれ得手不得手があるが、少なくとも常日頃使っている日本語を使って書くのである。なぜ書けないのか、以下のような理由があるのではないかと思われた。
1) パソコンやノートを前にして、どのように書いたらいいかと考え込んでしまう。
2) はじめから上手な文章を書こうと思って練りすぎている。
3) 頭に浮かんだことを言語化する作業に慣れていない。
まず、書く
そこでひとつの提案としては、「まずは書く」ことのように思う。最初はいい文章を書こうとか、このようなコンセプトやテーマで書こうなどと考えなくても良い。とにかく頭に浮かんだことを書いてみる。
テープの収録があるのならば、まずはテープ起こしをしてみる。テープを起こす作業は書く作業でもある。
こうして何かを書いていくうちに、どの文章から始めようとか、どのように構成を立てていこうかなどが、おのずと見えてくる。構成を練ってからでないと書けないという方もいらっしゃると思うが、まずは行動を起こしてみることも大切である。
議事録ではないから、最初から最後まできっちりとテープ起こしをする必要はない。あくまでも原稿を書くためのテープ起こしならば、自分の琴線にふれたところだけでもいいし、テーマに関係がないところは割愛してもいい。またテープ起こしをしても、起こした原稿のほんの一部しか使わないこともある。
しかし珠玉のエッセンスを取り出すためには、一見、無駄のように思える作業も大切である。切り捨て切り捨てながら、原稿は磨かれていく。
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