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第90回 聞き方のケーススタディ

 

寡黙な人の場合

 インタビュー中に困るのは寡黙な相手かもしれない。依頼書を出しているから、多くの方は、インタビューが始まればすぐに話してくれるものだ。ところが、時に寡黙な方がいる。ここで焦ってはいけない。
 しばらくその方の呼吸に合わせて待ってみる。少なくとも相手はインタビューを承諾してくれているのだから、話す気持ちは持っていてくれる。
 相手の呼吸に合わせて向き合っていると、相手も安心して話し始める。積極的に大きく頷いたり、相づちを打って話を盛り上げるエネルギーを送ってあげるとよい。最初は寡黙でも、一度話にはずみがつくと、あとはどんどん素晴しい話をしてくれる方が多い。

間が開いてしまったら

 寡黙な人の場合と似ているかもしれないが、こちらの場合は、寡黙な人ではなく、よくしゃべるのに、何となく間があいてしまって、しらけ鳥が飛んでいく場合である。さあ、困った。ここで多くの人は焦ってしまうのではないだろうか?
 私もはじめは人と話しをしていて間があいてしまうのが、恐怖だった。まさに間が悪いというか、居心地の悪さを感じて、焦ってしまうと、ますます何を話してよいかわからなくなる。
 もしくは「もうこれくらいで」という相手の意図かもしれない。そこいらへんを見極めなくてはならない。最初のうちは、遠慮してちょっと間があくと、「それでは、もうこれで」などといって「まだ何もいっていない」と驚かれたこともある。
 このような時は、焦らずに、その時を楽しむことだ。黙っているけれど相手といられる時間を共有できていることを楽しむのだ。
 もちろん、間をあけて、いとまの合図をしている可能性もあるのだから、そこいらへんは敏感に気づくことである。できれば最初にインタビューに費やしていただける時間を聞いておけばよい。
 
関係ないことばかりしゃべっている人

 盛りだくさんの話をしてくださる方の場合も、話が本題からそれてしまう。時間があるときは脱線した話を聞くことも興味深くそこに本音が現れたりする。
 しかし時間が限られている場合は、最初から時間について説明し、了承いただき、脱線した時は、状況を見つつ、話を本題に戻さねばならない。失礼にならぬように相づちをうつきっかけを利用しながら、「ところで本題に戻りますが……」のような形で本題に戻していくとよい。それでもどうしてもダメな場合は、相手の潜在意識が、その話をどうしてもしたくないのだと理解して、その日は退散するか、テーマを変えるしかない。

オフレコ状態の話ばかり

 いいお話をしてくれるものの、「これはオフレコね」という話が多いときも困ってしまう。信用してくれているからこそ、話してくれているのだろうが、原稿に反映することはできない。
 しかも「オフレコね」とか「これは口外しないように」などといわれてしまうと責任重大である。そのような時は速やかにテープを止めて話は聞いても、すぐに忘れてしまうか、お酒を飲んでも絶対にしゃべらないと覚悟をする必要がある。

怒っている人

 怒ってしまった場合は仕方がない。相手の話をきちんと聞いてあげなかったか、何かの反応のボタンを押してしまったからだろう。
 心から誠実にわびて相手の気持ちが収まるのを待つ方がよい。相手を大切にする気持ちが大切だ。
 とにかく相手が怒っていたら相手のことを考えて、まずは心から謝り、「自分は何をしたらいいのですか?」と相手の怒りが収まるのだったら、その方法を聞いて最善を尽くして行動するしかない。
 何か応急処置をしようとして、弁解めいたことやその場をとりつくろうと焦って言うとそれがさらに墓穴を掘り、ますます悪い方向にいってしまうこともある。
 そのようなときはさわらぬ神にたたりなし。相手が何で怒っているのかを十分に聞き、どうしたら怒りが収まるのかを相手に聞いてみよう。

泣いてしまった場合

 インタビューをしながらぼろぼろ泣いてしまうこともよくあることだ。私などもすぐに感動して涙が出る方だが、福田純子さんの本を書くときのお手伝いをしたときなどは、彼女の家に泊まり込ませていただき、あまりにすばらしく感動的な話を聞きながらおいおいと泣き合ったという経験がある。
 女性同士の場合は、このように泣き合うのもよいのだが、年上の男性の場合などはどうしたらよいか困ってしまうこともある。
 戦争体験の話をされて、いろいろなことを思いだし泣き出された高齢の方がいらっしゃったが、そのときはどうしてよいかわからずに、ただただ頭をたれていただけだった。その方は亡くなられてしまったが、こういう場合はどうしたらよいのか、今もわからない。ただただ誠実でいるだけである。

「気」の強い人

 「気」の強い人がいる。例えば気功師などだが、このような人の取材の時にはテープやカメラが壊れるというアクシデントがある。気」の強い人は何か見えない力があるのだろう。ある友人の話だが、彼は気功師など気の強い人のところに取材に行くと、あとで必ず身体に変調が出るといっていた。やはりインタビューは真剣勝負のようだ。

 
 
 

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