第71回 人の話を聞くことで自分がわかってくる
親鸞上人は「身調べ法」といって、自分のことをずっと調べることの大切さを説いたという。ソクラテスも「汝自身を知れ」といっている。
「自分自身を知ること」。これは本当に大切なことだが、なかなか本来の自分を知っているといえる人は少ない。
「本当の自分に出会いたい」という人は多い。しかし「本当の自分」というのはどうしたら出会えることができるのだろう。それがなかなかわからないのだ。
チルチルミチルの『青い鳥』のように、本当は身近なところにいるのに、どうしても見ることができない。加えて「本当の自分」に会うのはかなり怖いことでもある。
10年前、一番最初に、自己啓発のような、自分を発見するような類のセミナーに出た。ある人に誘われ、参加するかどうか迷っていたときに、ある人に「興味はあるけど、でも、怖いなあ」といっていたら、「あなたが怖いと感じることにこそ、必要なメッセージがあるのよ。怖いことに勇気をだして立ち向かってごらん」といわれ、びくびくしながらセミナーに通ったことを思い出した。
その後、折りがあれば、さまざまなセミナーや瞑想法などにも顔を出してみたが、最初のセミナーから10年後、私は原久子先生の瞑想呼吸法に出て、内観と止観を取り入れた瞑想呼吸法を行い、かなり本当の自分に迫ることができたように思う。
そのときに原先生は、「世の中で一番怖いものに出会ったのだから、もう怖いものはないでしょう?」とにこやかに教えてくださったのである。
そう。本当の自分に出会うことこそ、恐ろしくもあり、またいとおしいことはない。
今まで人と出会って、その人のことを大好きになったり、大嫌いになったりしたこともあるだろうが、それはすべて自分の本性を探すための鏡としての存在なのである。
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