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第67回 熟練者は待つことができる

 

 「キラーゲーム」というのをご存じだろうか?

 数人で、小さな部屋で行うゲームだ。例えば10人で行うとしたら、その10人の中で一人の鬼を決める。鬼が誰だかわかると困るので、トランプをひき、ジョーカーが出た人を鬼とする。

 鬼はその部屋にいる人を殺すことができる。どうやって殺すかというと、目が合った人にウインクをするのだ。ウインクをされた人は、自分が殺されたことをアピールするために、「うわああ」と叫んで、その場に倒れる。それがおかしい。

 しかしすぐに叫ぶと、誰が鬼であるかわかってしまうので、しばらく間をおいてからおもむろに倒れていく。このようにして部屋中にいる自分以外の人をウインクして殺すことができれば、鬼の勝ちとなる。

 しかし鬼を倒すことができる方法がある。鬼がだれかと見破った人は、鬼にベロを出すのである。そして鬼を倒した後は、自分が鬼になって、同じように人を殺していく。

 ベロを出された時は、鬼が「うわああああ」と叫んで、その場に倒れる。ただしすぐに倒れると誰がベロを出したかわかると困るので、一瞬の間をおいて倒れていく。

 ゲームに参加している人は、その小さな部屋を歩き回るだけである。人と目が合わないように伏し目がちで歩いたりするが、時として鬼と目が合い、ウインクされてしまう、やむなく「うあああああ」と倒れて死んでいく。

 このゲームをやったとき、最初に引いたカードがジョーカーだった。鬼である。しめしめと思ってはじからウインクをしていった。

 ウインクをしたときは、すぐに「うわあ」と叫ばれたら困ると思っているのだが、みなさん、慎重に私がウインクしてしばらくして遠くの方でうわああと叫んで倒れてくれる。その叫び声を聞きながら、にやにやしていた。
聞くチカラ キラーゲーム
 そうこうしているうちに、ある人と目があった。ウインクしようとする前に、ベロを出された。人からいきなりベロを出されるというのは、ゲームとはいえ、かなりのショックである。

 ショックと驚きで、その場で「うああ」と倒れてしまった。そこでゲームはお開きになってしまった。なぜならば、これではすぐに鬼がわかってしまうからだ。

 そこでもう一度やることになった。なんと! 次に引いたカードもジョーカーだった。また鬼である。また調子に乗ってウインクをしていたのだが、やはり私にベロをだした人がいて、思わず「うわああ!」と叫んで倒れてしまった。

 これには大ひんしゅくであった。結局ゲームは打ち切りになった。私に待つことができなかったからである。

 「待つ」ことは熟練がいる。そして気持ちを冷静にし、落ち着くことが寛容である。後日談である。町を歩いていて、男の人にウインクされた。その場で、「うわああ!」と叫んで倒れそうになってしまった。

 しかしこのときは、熟練していたから、待つことができて公衆の面前で「うわああ」と叫ぶような失態を演じることはなかった。

 このキラーゲーム、数名が集まったらぜひとも試してほしい。熟練者になれば、待つことができるようになる。

 

 

 

 

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