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自然から学んだ待つ能力

 
 

第65回 2章:待つ力
自然から学んだ待つ能力

 

 燃え尽き症候群のような症状に悩まされ、3年間自然の中をさまよっていることがあった。そのとき何が師匠だったかといえば、この自然が師匠だった。自然がさまざまのことを教えてくれた。

 例えば春、種をまく。毎日、心を配って水やりをすると、やがて小さな芽が出て、それがぐんぐんと大きくなっていく。

 日々大きくなるのだが、それは人間の都合ではない。植物が適度な太陽と水と大地の栄養を得て、自分の力で大きくなっていくのだ。

 水を毎日あげていたので、植物もそれに応じてくれていたとは思う。しかし、とはいえ人間のために1日で花を咲かせるようなことはしない。成果を見るまでは時間がかかるのである。

 ある日、小さな花がつぼみをくらませて今にも花をほころばせようとしていたことがあった。今咲くか、今咲くかかと、ベランダに出ては、その花が開花するのを見守っていた。

 目には見えない速度なのだが、確実に花はほころび、そして時間をかけて花が咲き、実をつける。それをはぐくみ、待つのが自然の優しさであり、愛でもある。
聞くチカラ 蓮のつぼみ
 そして、ぽっと花が咲いたときの喜び……。このように待つ心というのは、自然の声を聞く心にも通じるのだ。

 蓮の花が咲くとき音がするという話を聞いた。実際に植物がそのような音をたてるかどうかはわからない。しかし、確かに花が開くとき、そこには微細な音がするように思う。それを聞く繊細な心が大切なのだ。

 日の出の時も音がするという。なぜって音という字を分解してみれば、日が立つと書く。日が昇るとき音がするのだろう。聞く耳をもてる人は、日の出の音すらキャッチできる。

 また聞くことで芸術的なセンスも備わってくる。天才的な芸術家もよく聞いた。「私の耳は貝の殻、海の響きを懐かしむ」といったジャン・コクトーも、「聞こえてくる音楽は美しい。聞こえない音楽はさら美しい」といったジョン・キーツも、すべて繊細な「聞く力」で宇宙からのメッセージを表現している。

 

 

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