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第44回 「離見の見」冷静に自分を見つめられること

 

 能の先生が、発車する電車に乗り込む夢をみたといった。そのときに、見苦しいかっこうをして乗っていないか気になったというのを聞いて驚いた。常に美しい姿を人の前で見せていたいというこの先生は、夢の中でも、自分がどのように見えるのかを心配しているのである。すばらしいと思った。

 自分がどのように見られているかを冷静に感じ取る力も、聞き上手は養える。能では「離見の見」というが、もう一人の自分が、そとから自分のふるまいを冷静に見ることだ。
聞くチカラ 見た目
 感動する力はあって、一時的には相手と融合して我を忘れても、すぐに離れて落ち着いて、相手の話に耳をむける。

 聞き上手になるには、ホットな部分とクールな部分が必要なのだ。

 そしてこの2つの部分をもてた聞き上手は得をする。損得で話すのも妙な話ではあるが、まず第一に、話す方はそれなりに準備も必要だし、めったなことを話すわけにはいかない。しかし聞く方は、ある程度の聞く準備が必要でも、とりあえずは受け身である。話す方よりは気が楽だ。

 次に話す方は、無料で情報を提供しているのである。日本人は情報に対して、金銭的な感覚がない。これはかつて水が無料だと思っていたのと同じ感覚だ。

現在では水も有料の時代になった。今後は情報を提供するのもお金をとる時代になるかも知れない。少なくとも、今のところは聞き手に回れば、無料で貴重な情報を得ることができる。

 3つめに、話す方は自分の話すことに忙しくて周辺に気配りできないから、どうしても無防備になってしまう。自分がどんな風に髪の毛を振り乱して話しているのか、オーバーアクションをして品の悪い言葉を発しているのかなどとうてい気がつかない時もある。しかし聞き手は涼しい顔で聞いていられる。

 同じ数時間を費やすならば、自分が独演会をして話すのと、有意義な相手の話を聞くのとでは、全く時間の価値が異なってくる。




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