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第30回 説得せずに納得してもらうこと

 

 かつて旅行会社の仕事をしていたときに、いろいろなお客様からのクレームの電話の対応をしたことがある。当時はまだ若かったので、私も短気だった。

 時には、お門違いといわれるようなクレームをいってきたり、ごね得をねらっているとしか思えないクレームをいってきたりする人がいた。そのような時は思わずかっとして、言い返したくなったりもした。

 しかし、ある時、とにかくクレームは聞いてあげることが大切だということを先輩から教えてもらった。そしてむかむかしながらも、その怒りを聞いていたのだが、こちらがむかむかしているのが相手に通じてしまうのだろう。あまりうまくコミュニケーションができなかった。

 怒っている人に対してのおびえと攻撃、そして自分の正当性を主張したい思いは私に対しても長い間、課題になっていた。どうしたら相手の怒りに対して、怖がらないできちんと対応できるようになれるか、研究してみた。

 そのうち、相手が怒っているのは、相手を大切にしてあげなかったからではないかと思うようになってきた。

 それと同時に、怒りは相手が何かを求めている、助けを求めているサインなのかも知れないと思うようになってきた。大切にされなかったことに対する怒りであり、なにか問題を抱えているときの助けを求める合図かも知れない。

 人が怒るということは、最初、私にはとても恐怖だったのだが、だんだん、その怒りが私に対して向けられていると言うよりも、何か聞いてほしいことがあるのではないかと思うようになってきた。

 そして自分がその人を怒らせようと意図的に何かをしていない限り、誠実に話をしていると確信ができれば、相手の怒りをいたずらにおそれる必要はないと思うようになってきた。

 もしかしたら、相手が怒るような態度やふるまい、もしくは言葉を使ってしまったかもしれないが、しかしそれはわざとやったわけではない。もし、原因がわかれば心から謝ればよい。

 しかし、これといって思い当たるものこともなく、相手が怒っている場合は、相手の反応のボタンを押してしまった可能性があるのだから、相手の問題でもある。こうなってしまうと、相手のトラウマや気にかかっていることだから、自分としては全く対応できないこともあるのだ。

 そのような場合は、相手の怒りを聞いてあげるしかない。相手も何でそんなに腹がたっているのかわからない場合があるから、とにかく、支離滅裂なことをいうかもしれない。

 そういう時は、何はともあれ、一緒に相手の感情を整理してあげるつもりで耳を傾けよう。怒っている相手は、肉体的にあなたを傷つけることができるかもしれないが、あなたさえきちんと自分の誠実さを知っていれば、心の中までは傷つけられることはない。自分の心を傷つけてしまうのは、自分のとらえ方だけなのだ。

 だから心配しないで、相手の助けを聞いてあげよう。このときの鉄則は、自分は口をはさまないこと。また心の中で、いらいらしながら聞いたりしないで、本当に相手が何を求めているのか。相手のことを思うようにしたいものだ。(そうはいってもその場ではなかなか難しいかも知れないが、これも修行である)

 10分聞けば、相手はあなたにも話すスペースを与えてくれるだろう。また相手の本当に言いたいことがわかれば、問題を解決するのは早い。災い転じて福となすことも大いにある。




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