第11回 聞き上手は恋愛上手
例えば恋愛をしているときは、誰もが人生はバラ色のように輝くのを感じるのではないだろうか?
相手のことを少しでも多く知りたいから、身体全体を耳にして、相手の目元口元をくいいるように見て、話を聞く。そしてお互いに同じ世界を共有できることがうれしくて、この世の天国にいるように思うだろう。
恋愛の初期の頃(後期は少し異なるかもしれないが)は、あばたもえくぼ。相手の良いところ探ししかしないものだ。時として悪く見えることでも「よく」解釈をするのは、誰もが経験のあることだろう。
話を聞くというのは、それと同じ作業をすればよい。相手のよいところを探して聞くのである。そうすると、あたかも恋愛をしているときと同じように、相手と共有する空間をもてるのだ。
恋愛のパターンにはいろいろあるので、一概にいえないものの、私が観察したところによれば、そもそも恋愛をしているときは、自分の好きなところを相手に見たり、探して、あこがれていることも多いように思う。
相手に自分のなりたい自分、理想的な自分を見たり、生き方の美しさに共鳴したりして、その人のことを好きだと思う。将来の自分、理想の自分だから、本当に好きなのだ。
恋愛をすることは、自分を探すことでもある。人の話を聞くことも、自分を探す旅なのである。人は自分の鏡だからだ。いいところも、悪いところも、自分を映す鏡なのだ。
ポルトガルのファドの中に「コインブラ」という歌がある。この歌詞の中で、「o libro e uma mulher 」という言葉がある。「教科書は女性」というのである。本を読むより、実際に女性とつきあって交際した方が、よっぽど人生経験ができるよといっているように思われる。
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